基本的には、木曽檜で仏像彫刻していますが、
今回は、思い入れのある杉の建材を使って阿弥陀様を作って欲しいと、ご依頼を頂戴しました。
杉の木材でも、仏像を彫ることは出来るのか。
【結論】
可能ですが、木曽檜と比較すると、刃物の切れ味を相当良くしないと、仏像を仕上げるのは難しい。特に、顔や螺髪などの細かい作業が必要な場所への使用はおすすめしません。
お客様から木材が届きました。
まっすぐで、年輪の幅は狭い木目なので、なんとかなりそうです。
真ん中に穴があるので、この箇所を外したら、2体分の木材が取れました。
鉋がけをすると、きれいな木目が出てきました。
図案を描いていきます。
輪郭を彫りました。
彫ってみると、
刃物をかなり研いで切れ味を良くしないと、木の表面がバサバサになってしまいます。
また、木目に対して横削りをすると年輪の所で刃の進みが鈍くなります。
木曽檜のようにサクサクは彫れません。
また彫刻刀が傷がつきやすく欠けやすいので注意が必要です。
仏像は、顔を筆頭に、細かい彫刻が必要なので、素人にはおすすめしません。
もし杉を選びたい場合はこれ以上に年輪が細かい木材を選んだ方が良いでしょう。
杉の中でも屋久杉などは比較的彫りやすいかと思います。
当工房では、年輪が細かく、彫りやすい木曽檜の木材を提供しています。
仏像彫刻を検討されている方はぜひ覗いてみてください。
不動明王立像キットの販売を承りました。
坐像ではなく、立像を彫りたいとのご要命です。
台座の木材と図案を入れて発送します。
不動明王像は、忿怒(ふんぬ)の相という怒った表情をしています。
人々を正しい道に導くための厳しさが表れています。
右手には知恵を表す剣、
左手には人々を守るための羂索(けんじゃく)という縄を持ち、
背中に火炎光背を背負った姿が一般的です。
この火炎はカルラ王という天部が出している煩悩を焼き尽くすものです。
カルラ王は鳥の顔をしています。
そのため、光背の炎の中に鳥のくちばしが見えると思います。
本体の木材を長方形に鉋がけしていきます。
檜の良い香りがします。
不動明王の火炎光背の輪郭を糸鋸でカットしていきます。
全てくりぬきました。
観音菩薩を制作されるお客様から木材の問い合わせを頂いたので、木曽檜の鉋がけをしました。
今回の木材は、幅12センチ×奥行き12センチです。
とても綺麗な木曽檜。木目幅も細かくて彫りやすそうです。
仏像用の木材を彫る時は、正面を柾目(まさめ)にします。
柾目とは、木の木目が真っ直ぐに出ている面を指します。