彫刻刀の研ぎについて
研ぎは基本的に3工程あります。
『荒研ぎ』→『中研ぎ』→『仕上げ研ぎ』の順に研げますが荒研ぎは大きな欠けが無い限り必要ありません。
『荒研ぎ』・・・刃物が大きく欠けた場合。砥石は荒砥石
『中研ぎ』・・・小さな欠けや切れ味が落ちた時。砥石は中砥石
『仕上げ研ぎ』・中研ぎの刃がえりを研ぐ。砥石は仕上げ砥石
基本的には中研ぎ→仕上げ研ぎが一般的になります。
刃物は一般的には裏を平らにし表も平らに研ぐのが基本です。丸刀もこのイメージが大事です。
<日本製の刃物の構造>
鍛冶屋さんで頼む彫刻刀は地金(柔らかい鋼)と硬い鋼を張り合わせた二枚構造になっています。下の画像の様に鋼のある面を裏と説明します。
この鋼のある面を真っ直ぐにしてある事も切れ味の良さを左右します。過去の記事でも説明していますのでこちらを見て下さい。→ 彫刻刀の裏の研ぎ方
どういう時に研ぐのか
荒研ぎは大きな欠けが出ない限りしないので、中研ぎから説明します。
中研ぎは刃物が欠けている時と切れ味が落ちた時。刃物が欠けた時は木を彫った時に筋が出るので直ぐにわかります。
切れ味が落ちた時は刃物の滑りが悪くなります。木口を彫った時、下の画像の様に白くなります。
先ずは中研ぎの動画を作りましたので見て下さい。真っ直ぐ平らに研いでもらう事を意識して作ってあります。
中研ぎ動画では中砥石で先端の刃がえりを出す。
仕上げ研ぎ動画では仕上げ砥石で刃がえりを取る。
(注意)ピカピカに光れば研げていると誤解されがちですが、真っ直ぐに研げていたらピカピカに光る事は、ほとんどありません。
中研ぎ中研ぎ後の刃物。一直線に平らの面を出します。
(よくある失敗例)
次は仕上げ研ぎです。
表の研ぎ方は中研ぎと同じ要領ですが砥石を削るのではなく、刃先の刃がえりを上下に動かして取ることを意識して下さい。
(注意)仕上げ砥石は滑って安定しにくいです。こちらも真っ直ぐ平らに研いで下さい。